お寺の収支と住職の生活水準(昭和60年代の調査報告)

寺院の収支と住職の生活水準について

興味深い資料をSNS上で見つけましたので保存も兼ねてここに投稿しておくものです。

「地方の過疎化により困窮する寺院が増えている」とお寺の世界で言われるようになって久しいのですが、この資料を読むと実は30年以上前からその傾向は顕著であったことがわかります。

なお、同様の調査を曹洞宗が2015年に行って「宗勢調査報告書」として刊行し全寺院に配布されています。宗勢調査報告書に書かれていた内容とこの資料とを比較してみても収入の推移に目を見張る変化はなかったように記憶しています。


以下の資料 リポーター:東京大学宗教学研究室助手 石井研士氏

http://www2.kokugakuin.ac.jp/ishii-rabo/data/pdf/198803c.pdf

上記資料から曹洞宗について書かれた内容を抽出

年間収入が100万円以下の寺院 40.0%

100万円から300万円まで 27.2%

300万円から500万円まで 11.5%

500万円以上 13.0%

無回答 8.3%

寺院総数 14.007カ寺

中央値:162万4,000円

無回答寺院を除いた中央値平均:136万5,000円

住職の平均収入:約286万円

人件費(=住職の給料)を300万円確保するには法人総収入が500万円以上必要となり、そうした寺院は1815カ寺(13.0%)しか存在していないことになる。その結果、住職の兼職率が増えている。

総評:寺院や住職の収入の少ないことに驚かされる。もっとも、この驚きは私(リポーター石井氏)が東京に住んでいるためかもしれない…以下略

住職の所感

上記の調査で算出されている住職の平均収入はあくまで一つの寺院に僧侶が1人だけであり、給与を受け取るのが住職1人である前提で計算しているように見えます。

住職の配偶者が同居し寺院の業務をしていたり、後継者候補となる副住職やその配偶者がお寺に勤めているとしてもそれらの人たちの給与をゼロとして計算がされています。

住職以外にもお寺で仕事をして給与をいただいている人がいるわけですから実情は計算より少ない金額になりそうです。